私事:犬の話

 石名坂にはこの地域の焼却処理施設がある。ゴミ処理のみならず、ペットの火葬も(破格で)請け負っている。

 

 今日はそこに行ってきた。12年弱もの間わが家にいてくれた、愛犬の遺骨を受け取りに。

 

 リュックに受け取った骨壷を入れ、自転車で走ってきた。最後の愛犬の世話だ。

 

 人生の半分はこの犬といたことになる。犬の存在は暮らしの前提だ。17時になればご飯を用意しなくてはならない気がする。物音がすると、あいつかな、と思う。その度に、僕は底なしに暗い気持ちになる。

 

 いつもの散歩道を歩けば、元気に歩いていた頃が思い出される。前から笑顔で走ってきそうな気がする。今こうしてパソコンに向かっていても、いつもの物欲しげな顔が浮かんでくる。

 

 僕は就活を進めないといけない身でもある。面接に行って、笑顔で「働きたいです!」なんてやるのだが、御社を一歩出ると、僕は死んだような顔をしている。当たり前だ。僕が死のうと生きようと構わないおじさんたちが、犬より大事なわけがない。あれは世界で一番可愛い存在だったから。