花火の音を背に、コンビニでビールを買った

気が変わったりしなければ、どうやらデジタルマーケティングの業界で働くことになりそう。そういうわけで、当該分野のテキストを買いに本屋へ寄った。

 

マーケティングに関する実用書のコーナーで、業界の先輩に薦められた本を探す。無さそうだ。

他の本屋で探そうと目線をあげたとき、一冊の分厚い本が目に留まった。

 

「2017年度 宣伝会議賞 優秀作品集」

 

2017年の宣伝会議賞には、ほんのちょっとコピーを提出し、2本だけ1次選考を通過した。自分は箸にも棒にもかからないわけではないと思った反面、プロの壁の厚さも感じた。

 

本を手に取ってみると、1次を通過した自分のコピーが2本、小さく掲載されていた。

宣伝会議というのは阿漕な商売をするもので、こういった本を買うか、あるいは立ち読みでもしないと、自分のどのコピーが評価されたのかわからない。だから、ここで初めて選ばれたコピーを知った。

 

意外にも、片方は適当に書いた短いコピーだった。キャッチコピーというのは、書くよりも選ぶ方でセンスが問われる。ここで自分にとって「意外」なコピーが選ばれているということは、まだまだということだ。

 

そもそも、宣伝会議賞の1次を通過するのは、よほどセンスのない人でない限り難しいことではない。1次選考の通過率は1パーセント。100本書けば1本は通る。1つのお題につき50本までコピーを登録できるが、お題をある程度しぼり、それぞれ50本ずつ埋めるようにすれば、各1本は通るだろう(逆に、幅広く10本ずつ出すようなやり方だと、少し厳しいかもしれない)。

 

とはいえ、やはり自分の名前がこうした書籍に載るのは、少し嬉しい。

本屋を後にし、また別の本屋で目当てのテキストを購入し、家路についた。

 

今日は鎌倉花火大会だ。江ノ電のホームには、浴衣を着た男女や、浴衣は着ていなくとも、それなりのお洒落をした男女が目立つ。

 

こういうのを見て、中島はとかく非リア的な感情を抱くものだと、みんなは思っているだろう。実際は違う。電車が遅れたりしてムカつくな、無駄にスケボーを持ってきた男の連れてる女はだいたい退屈そうな顔をしているな、俺の前でベタベタすんなやオタクカップル、と思うくらいで、ほとんど何も感じない。

 

ただ今日は、先ほど本屋で感じた小さな喜びが、卑小に見えてきてしまった。彼らは誰かから与えられた評価に喜んでいるわけではないから。対して自分は、ショボい評価軸に一喜一憂していただけだ。

 

小さな興奮がすっかり消え失せた頃、最寄り駅についた。

無性にビールが飲みたくなった。後ろの方で花火の音がする。振り返らずに、コンビニに向かった。ビールがぬるくならないうちに、足早に帰宅した。

 

自室に入り、部屋の一点を見つめる。自分はここ1年半くらい、あらゆる選択の失敗をしてきたと思う。何がいけないのか、何を次に活かせるか、皆目検討がつかない。

 

考えてもしょうがない。かれこれ100回以上は聴いている、At the Drive-Inのお気に入りの曲をかけ、ビールを飲んだ。

 

 

 

 

そしたら全部解決しました!!!!!

アイム・ソー・ハッピー。

イェーイ。